宇和海には、太平洋から夏場にあたたかく、冬には冷たい水温の黒潮が流れ込みます。
そのため、自然の浄化作用と酸素供給作用が起こり、美しい豊かな海となっています。
しかも、ミネラルや栄養を豊富に含む海水も黒潮から流れこみます。

 宇和海は全国的にも透明で美しい海として知られ、日本のバイカル湖とも称せられます。10〜20mの透明度を誇る海は、植物プランクトンの層が厚く、酸素がたくさん含まれている健康な海水を持っています。そのため、宇和海は豊かな漁場となっています。
 また、2003年の調査結果で、私たちの生活に影響を及ぼす科学物質のPCBやダイオキシンの数値が少なく、汚染されていない海であることが証明されました。

 内海の海水は外洋である黒潮が流れ込むため、いつも新鮮な状態に保たれるとともに、潮流が栄養素やミネラルを宇和海に運んでいます。これは、黒潮の一部が入ってくる宇和海特有の現象で、美しく透明な宇和海は、魚たちの喜ぶ豊穣の海でもあることがわかります。

 宇和海には、近くを流れる黒潮の一部が流れ込みます。外洋が瀬戸内海の水を押し流して入れ替えるため、海を浄化し、酸素をたっぷり含んだ海水と入れ替るのです。黒潮の海流が自然の力で宇和海の掃除をしている状態となります。

 黒潮の流れには、水温が高く栄養の少ない「急潮」と水温が低く魚の栄養源となるミネラルを豊富に含む「底入り潮」があります。「急潮」と「底入り潮」は、2週間ごとに入れ替わって食物連鎖を活発化させ、栄養の豊富な海にするのです。
 これは、黒潮の一部が内海に流れ込む地理的条件を備えた宇和海にしか起こらない特別な現象です。宇和海はこうした自然の恩恵を受けて、美しい自然環境を保っています。

※京都大学 中野伸一教授の論文を参照しています。

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