鯛は脂質が少なく淡白でクセがないのですが、特有の香りとうま味があり、
刺身や焼きもの、揚げものなど、どのように調理しても美味しい魚です。
鯛の持つプリプリとした歯ごたえを持つ鯛には健康パワーが凝縮されています。

 鯛の身に多く含まれているたんぱく質は、筋肉や臓器などをつくる大切な成分です。しかも、身体の働きを調節する酵素やホルモンもつくりだし、私たちの身体のためにかかせない栄養成分です。しかも、鯛のたんぱく質はグルタミン酸をはじめとする必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のものです。
 鯛のたんぱく質に入っているアミノ酸のうち、旨味成分のイノシン酸を豊富に含んでいます。イノシン酸は、分解速度が遅いので調理してから長時間経っても、旨味成分が存分に残っています。これが「腐っても鯛」といわれる所以なのです。また、体内の余分な塩分を輩出して高血圧や動脈硬化を予防します。
 鯛には、血中コレステロール値を低下させ血圧を正常に保つタウリンを豊富に含んでいます。タウリンは肉類にはほとんど含まれない成分で、心臓機能を強化する働きを持ちます。加えて、動脈硬化や糖尿病、肝臓病などの生活習慣病を防止する効果もあります。
 肝臓の機能を高める効果もあり、胆汁酸の分泌や肝細胞再生を促進させてくれます。また、胃腸の働きをよくしますので、二日酔いや胃弱の方にぴったりの栄養分です。
 鯛には、アレルギーの原因となるヒスタジンが少なく、消化吸収力や抵抗力の弱い乳幼児や高齢者にぴったりの食材です。
 また、体調を整え、生命維持に欠かせないビタミン群も含まれています。特に細胞再生やエネルギー代謝を促進させるビタミンB2が多く、抗酸化作用の力で老化防止やストレスから身体を守り、健康な肌をつくります。また、口内炎や目の充血、動脈硬化、脳卒中などの予防に効果があります。
 ビタミンB1は消化液の分泌を促し、糖質の代謝を促進させ、食欲を増進させます。疲労をやわらげるとともに、脳の働きを活性化させ視力回復や肝臓病などの予防効果があります。
 糖質・脂質・タンパク質の代謝を司るナイアシンなどのビタミン類も豊富に含んでいます。
 鯛は、青魚ではありませんが、血液中のコレステロールを下げる働きをもつ不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)も多く含んでいます。
 DHAは、脳の発達や活性化を促したり、神経組織を発育させるため、頭を良くする効果があるといわれています。EPAは血液の流れをよくし、脳血栓や高血圧、動脈硬化を予防する効果があります。また、アレルギー改善効果もあります。
 これらの不飽和脂肪酸は鯛の頭や骨の部分に多く含まれています。つまり、「カブト煮」や「あら煮」にすることで、DHAやEPAを摂取できます。余ったものでも、美味しくて健康に役立つ鯛。まさに「鯛はムダなところがない」のです。

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