「魚職」とは、魚の漁獲から加工、流通、販売と言った職業現場を知ることです。
食の安心安全の面からも、漁場から家庭までの鯛のプロセスを理解し、
環境や資源に配慮した循環型社会を考えていきましょう。

 ブリ縄という大縄で海底を引き回し、深い海に生息する鯛を追い出し、これを背後から地曳網で捕獲するものです。海岸で網を引くだけだった地引網が進歩し、船を使って魚を脅し網の近くに集めるという漁法で、中世に普及したといいます。

 江戸時代、鯛を捕るために発達した漁法が五智網です。カーテン状の網の上下をしぼり、真ん中をふくらませ、網の両端に藁の網を取りつけます。船から半月形になるように網を降ろし、網をたぐりながらゴツゴツと船端をたたき、鯛を集めます。この音から「五智網」といわれるようになりました。

 明治前期に発展を遂げた漁法で、二艘の船が網の両端を交差させ、網を縛り上げるように引き上げるため「縛網」の名がつきました。鯛は産卵のために海面のすぐ下を群れをなして泳ぎます。鯛の上にのるようにして泳ぐため、海面が盛り上がるようになり、これを「魚島」といいました。産卵期の鯛を漁獲するのにこの「縛網」は最適の方法でしたが、30〜40名という大人数を必要としました。

 松山高浜や三津浜、今治大浜や吉海、小部、大洲長浜、伊方串では、鯛を一本釣りで捕獲します。網を使用することができない深いところや潮流の激しい地域で行われます。しかし、一本釣りは、海峡や岩礁地帯で行われ、熟練の技術が必要です。網で獲ると、鯛に傷がついたり、暴れて鮮度が落ちます。しかし、一本釣りは新鮮で丈夫な鯛を市場に送ることができるので、高く売れます。

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