現在の鯛の流通を支えているのが、養殖ものです。スーパーや魚屋さんで売られている鯛の刺身のほとんどが養殖もので、今や養殖を抜きにして鯛の市場は成り立たなくなっています。
鯛の養殖方法は、波の少ない地域に筏を組み、その下を網で囲って池をつくり、稚魚を放して飼育します。養殖ものの鯛は、浅いところで飼われているため、体色がどうしても黒くなります。それを解消するため、生け簀の上に黒いシートで覆いをかけたり、赤みを出すエビを餌に配合するなどの工夫を施します。また、鯛が十分に運動できる飼育密度にするなど、鯛がストレスを感じないように飼育されています。
かつての飼育では、身が柔らかい、臭みがある、脂がつきすぎているなどが問題となりましたが、現在は配合飼料や筏の大きさを改良することで、天然鯛に遜色ないものが出荷されています。料理人のなかには「天然ものも養殖ものも変わらなくなってきた。脂のつき方など、かえって養殖ものの方が美味しいと感じる人が増えてきた」という人もいます。調理するときに水でよく洗って脂分を落とし、水気を拭き取れば、鯛のおいしさが最大限に引き出せます。
養殖鯛の最大の魅力は、安全に安心できる環境で管理されていること。海洋汚染を受けやすい天然ものよりも安心となのです。加えて、サイズが均一であること、量が安定していること、一年中おいしい鯛を味わえることも人気の要因となっています。
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