私たちの食生活をめぐる環境は大きく変化してきました。
生活水準が向上し、ライフスタイルが多様化した結果、
地域に根ざした食文化が失われようとしています。
 こうした危機的な状況の下、一般家庭における「魚離れ」を是正するため、
食生活に関するさまざまなことを「食育」として学ぶ「ぎょしょく」を提案します。

「ぎょしょく」活動を推進させるには、人間の食生活に関する全体像を念頭に置く必要があります。
これまで食育活動は栄養学、家政学、保健学の分野で進められてきましたが、
 社会科学も含め、人間と食にまつわる事柄を総括的に把握しなければなりません。
また、水産学の分野に特化させた直接的な検討も不可欠です。

農業の分野では、食育活動が先行して進められています。
 それにならい、水産学の分野に特化させた積極的な「ぎょしょく」に取り組みます。

魚の調理方法の普及と促進

健康・安全への呼応

食文化の啓発と継承

1.地域特性を念頭に、漁業や水産加工、地域に根付いた伝統的な魚の生活文化を活かすこと    
2.魚に関する生産と消費の再接近、つまり魚と食の再接近を図り、資源と環境の関連を検討すること
3.魚に関わる生産から加工、流通、消費までをトータルに把握し、フードシステムを理解すること 


「ぎょしょく」とは、水産分野における食育活動を総合的、かつ能動的に展開します。
そして、食の多様性をみんなで考え、魚を用いた食育活動を推進していきます。
 「ぎょしょく」といえば、まず「魚食」が連想されますが、
トータルな内容を含むため、「ぎょしょく」としています。
「ぎょしょく」は、魚蝕→魚色→魚職→魚殖→魚飾→魚植という一連のプロセスを経て
「魚食」に到達し、魚のすべてが学べるような仕組みになっています。

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鯛に直接触れる体験

種類や栄養など、鯛本来の情報

「とる漁業」を知る

「育てる漁業」を知る

鯛の伝統的な地域文化を知る

鯛を育てる地域の環境を知る

鯛の味を知る

※この「ぎょしょく」の考え方は、魚のことを体系的に、かつ、総合的に理解しようとするもので、若林良和(愛媛大学南予水産研究センター教授)編 『ぎょしょく教育』(筑波書房、2008年)を参照しています。

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