大三島にある大山祇(おおやまずみ)神社の祭礼のあとに行われる直会の儀式に使われる鯛料理のなかでも、特に大切にされる料理が「鯛の骨蒸(こつむ)し」です。二つに割り、きれいに洗った鯛の頭を、コンブにのせて酒を注いで蒸しあげます。
 鯛の一番美味しい部分は頭です。まずは目玉と唇のゼラチン質を味わい、ぷりっとした頬の肉を楽しみます。さらしネギなどの薬味を入れたポン酢で味わうと、至福の美味しさを体験できるのです。
 鯛の頭を真二つに割るにはムダな力はいりません。不思議なことに、鯛の口の真ん中からに包丁を一気に入れると力を入れずに見事に割ることができるのです。
 胸びれの付け根には「鯛の鯛」と呼ばれる小骨があり、幸運を呼ぶお守りにする人もいます。

※土井中照著『愛媛たべものの秘密』(アトラス出版)を参照しています。

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